スティーブンキング著「書くことについて」と、
森博嗣著「つぶさにミルフィーユ」を読みました。

書くことについて (小学館文庫)
スティーヴン キング
小学館
2013-07-05




これらは、特に何の脈絡も無く選んだ本だったのですが、
たまたま特徴が似ているので、2冊同時にまとめてみようと思いつきました。

著者はどちらも小説家ですが、
しかし紹介する本はどちらも小説ではありません。

そして両方とも、書いている最中に生死をさまよったという、共通点があります。

生死をさまよった経験というのは、どうしても生き方にまつわる話になりがちです。
日本とアメリカ、それぞれのベストセラー作家が書く、生き方についてのエッセイです。

===
 

まずは、「書くことについて」から。

スティーブンキングさんを、実は、私は小説では読んだことがありません。
「グリーンマイル」を映画で見たぐらいで、それも小さいころだったので、
何となくしか覚えていません。

私はもともとホラーが嫌いなので、「シャイニング」も「IT」も「ミザリー」も見ていません。
そんな私でも、もちろん「スティーブンキング」の名前は、知っています。

本書は、アメリカを代表するといっても良い小説家が、
「書くことについて」かなり詳細に教えてくれる本です。

もともとは、「小説作法」という名前で売り出されていたぐらいなので、
小説家向けの内容にはなっていますが、
もちろん、職業として小説を書く上での、
  • やらなければならないこと、
  • 自分へのノルマの課し方、
  • 仕事相手への気づかい方
などが、おおよそカバーされています。

もちろん、文章の書き方についても詳しく書かれているので、
小説が書きたい人にはもちろん、一般的な仕事術の本としても、
面白く読めると思います。

===

次に、「つぶさにミルフィーユ」を。

森博嗣さんは、以前、「アンチ整理術」という本を読んでいます。
ミステリー小説(正確には、「森ミステリィ」と表記するらしい)を書いている人で、
10年ぐらい前に「引退」しました。
とはいえ引退後も、何冊も本を出している、あまのじゃくな作家さんです。

森さんは、多作で、本書も彼のエッセイシリーズのうちの1冊です。
構成としては、100個のエッセイが、何となくつながりながら、並んでいます。
見開き2ページで、同じ分量なので、読みやすいと思います。

森さんの見方は、独特なので、好き嫌いは分かれるでしょう。
そんな見方があったんだ! と、新しい発見ができる人にとっては、
なかなか面白いエッセイになっていると思います。

===

さて、この2冊は、どちらも生死について考えている本でもあります。
キングさんは、車にはねられました。
森さんは、車に乗っているときに原因不明の脳卒中で倒れました。

しかし、それに対する生き方は、かなり違います。
そもそも、2人は、小説に対するスタンスが全然違います。

キングさんは、小説が好きで、好きで、たまらないから書いている人です。
一方、森さんは、模型製作が好きで、その費用を捻出するために仕方なく小説を書いている人です。

このため、生死をさまよった後の、書くことについてのスタンスも、おのずと違ってきます。
キングさんは、文章が書けてうれしい、そのために頑張る、というスタンスなのに対して、
一方の、森さんは、毎日遺書を書くのも良いかも、という境地に達してしまいます。

自己啓発の名著である「7つの習慣」でも、最後(死)から考えるというものがあります。
死を想いながら(メメントモリ)、自分の働き方を見直す機会になるのではないかと思いました。

死を想う、だなんて、なんだか湿っぽい話になりがちですが、
この2冊のエッセイは、どちらも、とても読みやすく、
すっきりした書き方になっています。

働き方を考える延長に、生き方、さらに死に方まで考える、
とても良い書籍なのではないかと思います。